全国災対連ニュース №75

全国災対連ニュース 2011年9月28日 №75

 紀伊半島各地に大な被害
台風12号による豪雨災害の現地を調査
 9月3日高知県東部に上陸した台風12号は、西日本から北日本にかけて広い範囲で記録的な大雨をもたらし、特に紀伊半島では降り始めの8月30日からの総降水量が多い所で1800ミリを超えました。このため紀伊半島の和歌山県・奈良県・三重県に被害が集中しました。
 人的被害では、被災3県で死者58人(和歌山47人、奈良9人、三重2人)。行方不明は、被災3県で25人(和歌山8人、奈良16人、1人)となっています。家屋の被害では、被災3県で全壊259棟(和歌山180棟、奈良45棟、三重34棟)、半壊は87棟(和歌山72棟、奈良11棟、三重4棟)となっています。床上浸水も被災3県で4384棟にのぼっています。
 被災地に入った全労連本部役員でもある中山益則全国災対連事務長の報告を紹介します。


 被災3県を中心にボランティア活動
 和歌山県評とみえ労連は、9月第3週に救援ボランティアの募集をおこない、全労連にも支援要請を出しました。そして、①救援物資、救援ボランティアは、各ブロック規模で取り組む。②救援カンパ運動は、全労連規模で取り組むことを確認しました。全労連は、和歌山県評に軽トラックを移送し、和歌山県評とみえ労連に50万円の救援カンパの前渡しをおこないました。
 和歌山県評とみえ労連は、9月23日~25日の週末救援ボランティアに取り組み、和歌山県評から3日間で70人余、みえ労連から15人を超える組合員が参加。京都・大阪・愛知の組合員も駆け付けました。自治労連からもボランティアが参加しました。和歌山のボランティアは、新宮市社協のボランティアセンターに結集して活動しています。三重県紀宝町では、町独自の共同ボランティアセンターを拠点に活動しています。
 23日から25日にかけて、和歌山県評の自動車に同乗して新宮川から熊野川に至る国道168号の被害状況を視察しました。新宮市災害ボランティアセンター熊野川サテライトでは、活動を終えて帰ってきたボランティアを激励しました。和歌山市内から同所まで、約5時間の距離です。2日目は、朝、ボランティアセンターで送りだしをおこなった後、道路が崩壊しているため三重県紀宝町経由で新宮市に入り、那智勝浦の被災状況を視察しました。紀宝町では、みえ労連、和歌山県評の幹部と救援・復旧・復興に向けた共同について意見交換をしました。その後、再び紀宝町の拠点に戻って、みえ労連の自動車に同乗、市内視察をすませ、津に向かいました。
 「ダムの放流が水害を拡大した」
 熊野川は一級河川で、流域は奈良・和歌山・三重の3県にまたがり総延長は183キロに及びます。流域の随所で被災しています。熊野川本流には7つのダムがあり、和歌山県評のメンバーは「水量に耐え切れずに放流し、これが水害をさらに拡大した」と指摘します。被災状況は、極めて深刻で、特に熊野川上流の川沿いの集落はほとんどが被害(全壊・半壊)に遭っています。高台の家も床上浸水しています。記録的な雨量によって熊野川の堤防上より5メートル以上にも達し溢れた所もあります。国道の電信柱の配線に流木や流れてきた枯れ草が巻きついていたり、低い所の家屋は破壊されています。
 那智勝浦の名勝・那智の滝も形が変わり、滝壺や下流で巨大な岩が崩れ、杉の倒木が散乱しています。この地域では、本来の道路が溢れた水で川になっていました。また、周辺の山はあちらこちらで山崩れが発生し民家を押しつぶしていました。紀勢本線も那智勝浦駅からごくわずかの所で川を渡る線路は、土台も線路もすべて流されていました。