全国災対連ニュース №78

全国災対連ニュース 2011年10月27日 第78号
  岩手の3県立病院再建へ 知事が表明
  福島県議会が原発「廃炉」の請願採択
  あんぽ柿の全面賠償 東電が確約
  水産特区の撤廃求める請願を不採択 宮城県議会


      岩手の3県立病院 再建へ
   知事が表明 仮設診療所に入院機能も
 東日本大震災で被災した岩手県の山田、大槌、高田の3県立病院について、達増知事は「再建を基本としつつ検討する」と、10月13日の県議会本会議で答弁しました。また、高田病院の仮設診療所に入院機能を整備する方針も表明しました。
 岩手県沿岸部の山田町、大槌町、陸前高田市にあって、地域医療の重要な役割を担ってきた3県立病院の早期再建を多くの住民が求めていました。また、津波被害で全壊した高田病院は7月25日から仮設診療所を開設し外来診療をしていますが、医療関係者からは「入院が必要な患者が毎日きている。入院機能が必要」との切実な声があがっていました。
   福島県議会が原発「廃炉」の請願採択
 福島県議会は9月定例会最終日の10月20日、新日本婦人の会県本部が提出していた、県内にある原発10基すべての廃炉を求める請願を採択しました。
 東京電力は、福島第1原発6基のうち1~4号機の廃炉は明言しましたが、5・6号機および第2原発6基については明らかにしていません。県は「再稼働はあり得ない」という態度です。
 採決では、県議53人のうち5人が退席し、残る48人の賛成で採択されました。
     あんぽ柿の全面賠償 東電が確約
   福島県北農民連主催 百人超す生産者が交渉
 福島県北農民連は10月24日、原発事故の影響で加工・出荷が自粛されている伊達地方の特産あんぽ柿の賠償について、伊達市内で東京電力と直接交渉をしました。
 交渉には百人を超える生産者が参加。11月15日までに請求した賠償支払いを12月中旬までに済ませること、柿の廃棄費用などを賠償することなどを要求しました。
 東電側は、あんぽ柿は特例として12月20日ごろまでの短期に賠償金を支払うこと、損害量は過去最高の数量とすること、廃棄費用も賠償することなど、全面賠償を確約しました。
     水産特区の撤廃求める請願を不採択
   宮城県議会 自公民が反対 共産、社民は賛成
 宮城県漁業協同組合が提出していた「水産業復興特区創設の撤回を求める請願」が10月18日、宮城県議会本会議で採決され、出席58議員のうち賛成20、反対37、無効1で不採択になりました。政党では共産党2人と社民党4人が賛成。自民党、改革みやぎ(民主党)、公明党は賛否が分かれ、自民30人、改革みやぎ3人、公明3人が反対しました。
 県漁協が提出した同請願は、10月14日の産業経済委員会で審議され、自民党の3人は反対
しましたが、共産党、社民党、改革みやぎ(民主党)の2人、自民党の2人が賛成し、採択されましたが、本会議の採決で逆転不採択になったものです。
                ◇
 村井嘉浩宮城県知事が提案している「水産特区」は、漁業権を民間企業に認めるもので、全国災対連は厳しく批判し、「東日本大震災の被災者救援・生活再建。復興の第一次提言」の中で次のように提起しています。
 1,被災者・被災地が主人公の生活再建・復興と国の責任による全面的な支援
東日本大震災の復興にとって最も大事なことは、阪神淡路大震災の最も苦い教訓を繰り返さないことです。今回も大震災に便乗した道州制や復興特区の導入、大規模防災投資、消費税増税、社会保障の後退・抑制、さらなる構造改革、TPP参加などを推進する「復興計画」の動向が強まっています。次の基本的な方向で被災者の生活再建と復興を行うことが必要です。
1)今こそ阪神淡路大震災の教訓を生かして、被災者の「自己責任」ではなく、被災者の生存権 など憲法で保障された基本的人権の立場に立った救援・生活基盤の回復、被災地の自治と参加、 被災者主人公の条件整備など民主主義を最も大切にした被災地復興にしていくこと。
2)阪神淡路大震災のような上からの押しつけの復興計画ではなく、また「創造的復興」と称する大手ゼネコン中心の大規模開発事業ではなく、人間としての被災者の生活・営業・労働の復興や日本の地方自治及び地域経済の発展・展望を示すこと。(以下略)
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 先日開催された全国交流集会の記念講演(写真)で宮入興一・愛知大学教授は、宮城県の「復興計画」について、「『復旧』にとどまらない抜本的な『再構築』、現代社会の課題を解決する先進的な地域づくり、壊滅的な被害からの地域モデル、などを掲げており、集権・官僚的な『新自由主義・構造改革型復興』であり、『災害資本主義』の最たるものだ」と批判しました。そして、これを許すかどうかは、県民と全国の今後の運動にかかっていると述べました。